最近では、積極的に起業する大学生が増えていますが、その中の多くが起業に失敗しているといったニュースが流れたりしますね。。
理由はやはり若いからなのでしょうか。
しかし、起業した大学生の中にも成功している人たちはいます。
成功する大学生と失敗する大学生では、どのような違いがあるのでしょうか。
本記事では、学生起業家の失敗率や失敗事例、失敗する人の特徴や成功の秘訣を紹介していきます。
大学生で起業を目指している人は、ここからしっかりと学び失敗のリスクを回避できるようにしましょう。
学生起業家の失敗率
最近、起業というキーワードも頻繁に耳にするようになり、実際にネットビジネスを中心に起業したという声も多く聞きます。
大学生などの学生が起業している例も増えたため、「起業は簡単にできる」という印象を持っている人もいるかもしれません。
では、起業家の実際の失敗率はどうなのでしょうか?
あいにく学生起業家を対象としたデータは無いものの、2017年に中小企業省が発表した調査では、下記の通り記載されています。
業種別の差異は小さくなっており、最も廃業率が低い業種は、医療,福祉の2.4%で廃業率を押し下げており、最も高い業種は宿泊業,飲食サービス業の6.4%で廃業率を押し上げている。
他方で、開業率で差が見られた製造業と建設業については、廃業率はおおむね同水準となっている。
上記にも記載されている通り、業種によって、失敗率(廃業率)も異なっています。
また、中小企業の場合、倒産件数は減少傾向にあるものの、休廃業や解散する企業は年々増加傾向にあります。
つまり、ネット上には『起業の失敗率95%』という内容が多く記載されていますが、実際のデータではそこまで高くありません。
また、下記の表は、2014年に日本政策金融公庫が調査した、起業してどのくらいの期間で黒字になっているのかの調査データです。
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 | |
女性 | 49.7% | 60.3% | 68.9% | 74.5% | 80.0% |
男性 | 58.3% | 65.6% | 69.5% | 72.2% | 74.1% |
参照:日本政策金融公庫論集
上記の方を見ても分かる通り、3年目以降は、女性起業家の方が男性起業家よりも黒字の割合が高くなるのが特徴です。
とはいえ、事業というのは簡単に起業できますが、あくまでも『継続できてこそ』ですので、黒字化させるまで、辛抱強く継続していく必要があります。
学生起業家の失敗事例
では、大学生で起業した学生起業家が失敗している理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここからは学生起業家の失敗事例を詳しく確認しながら、失敗の原因を探っていきます。
失敗の理由や原因を学ぶことで、リスクを回避できる可能性が高まるのでしっかりとチェックしておきましょう。
ただ単に憧れだけで起業
大学生の中には、「ただ単に起業に憧れてスタートした」という人たちも多くいます。
憧れだけで起業を目指した人の多くは、起業に対する知識やノウハウがほとんどありません。
単なる憧れだけで、起業に対しての知識やノウハウがなければ、起業を成功させることは難しいでしょう。
起業は想像以上に簡単にできてしまうため、憧れだけで起業してしまう学生起業家が多いのです。
最初から大きな借金をして起業
大学生などの学生起業家の中には、最初から多額の借金をしてしまう人もいます。
しかし、どんなに綿密な計画を立てて起業しても、事業を継続させて成功するのは非常に難しいものです。
借金の支払いに追われて、いつまで立っても利益が出ないという状態に陥る場合もあります。
特に社会人経験もない学生の起業では、ノウハウや知識が乏しく初めての経験も多いため、成功できる可能性は低いと言えます。
大学生などの学生が起業を目指す場合は、最初から大きな規模で事業を始めるのではなく、小さい規模からスタートして、周りの反応やニーズを確認しながら拡大していくのがポイントです。
大きな借金を抱えてしまった状態での起業は、非常にリスクが大きいことを覚えておきましょう。
浅い知識で最初から法人として起業
大学生が起業を目指す際は、事業の法人化を考える人もいます。
しかし、法人化をするということは、様々な手続きも多く、大きな責任を追うということも意味します。
場合によっては、税理士や行政書士を雇うことになり費用の負担が大きくなる可能性もあります。
起業についてのノウハウが乏しいまま、「法人化した方がいいらしい」といった程度の浅い知識での起業は注意が必要です。
事業をスタートさせたばかりで利益が出ていない状況でも、毎月の経費などで固定費は発生します。
法人としての起業を目指す場合には、長期的な事業計画や利益が出ない状態でも事業を継続できるだけの運転資金が必要不可欠です。
学生起業家で、長期的な事業計画や運転資金が用意できないというのであれば、まずは個人事業主として事業をスタートさせ、しっかりと収益化の目処が立ってから法人に切り替えるのもひとつの方法と言えます。
補助金や助成金を頼りにして起業
学生起業家は資金を用意するのが難しいため、補助金や助成金を頼りにして起業する人も多くいます。
補助金や助成金は、資金の用意ができずに起業を諦めてしまう人たちを支援するための制度なので、有効に利用したいシステムですが、「頼りすぎ」「当てにしすぎ」には注意が必要です。
補助金や助成金には、ものづくり・商業・サービス補助金、創業支援事業者補助金など様々な制度があります。
しかし、きちんとリサーチせずに補助金や助成金を当てにして起業した場合、補助金や助成金をもらうことができなかったという状態に陥りかねません。
補助金や助成金がもらえなければ事業が成り立たないという状態で起業するのは危険です。
補助金や助成金はあくまでも事業を支援してくれるものと認識して、補助金や助成金を当てにしない事業計画をしっかりと立てましょう。
利用されているだけと気づかずに起業
起業には人とのつながりやネットワークが非常に重要です。
しかし、人とのつながりやネットワークを過信しすぎるあまり、利用されていることに気づかずに起業し失敗している学生起業家もいます。
すでに成功している起業家や注目されている人物と知り合うことで、自分自身も大物になった気分になるというのはよくあることです。
実際に学ぶことも多くあるはずです。
しかし、「うまい話には裏がある」ということを念頭に置いて、どんな情報でも、「ただ利用されているだけなのではないか?」という疑いの目を持つようにしましょう。
起業のつもりが勧誘を行っていた
最近では、インターネットを利用して簡単にできる起業も数多く登場しているため、インターネットを活用して起業を目指す学生起業家も増えています。
しかし、自分自身がどんな情報を持っていて、どのように活用しているのか、どれほど正しい情報なのかといった自分自身の状況や置かれている立場は、常にしっかりと把握しておく必要があります。
学生起業家の中には、起業しているつもりが、いつの間にか謎のビジネススクールの勧誘をしていたという人もいます。
インターネットには、まだまだ危険な罠が数多く仕掛けられています。
「とにかく稼ぎたい」という気持ちが強くなりすぎると、判断が狂い善悪を見誤ってしまう可能性もあるので注意しましょう。
資金不足のまま起業
資金不足が原因で失敗した学生起業家もいます。
起業する場合は、どんなに節約しようとしても削減することができない必要不可欠な費用が必ず出てきます。
そういった必要不可欠な費用を用意できない状態で、見切り発車で起業しても失敗は目に見えています。
どんなに立派な事業計画があったとしても、必要な資金を用意できる目処が立っていなければ、起業は待つべきでしょう。
法人として会社を設立するのであれば、定款の作成や公証人の認証費、登記費用など数万~数十万円の費用が必要です。
また、オフィスや店舗を構える際には賃貸費用や保証金、不動産会社への仲介手数料の他に、デスクやイス、パソコンなどの備品も必要になります。
さらに、従業員を雇うのであれば人件費の支払も発生するため、開業資金として300万円程度を用意する必要があります。
不十分な市場調査で起業
市場調査が不十分だったことが原因で失敗したという学生起業家もいます。
世間がどんな商品やサービスを求めているのか、世の中のニーズを知るためには市場調査が欠かせません。
ニーズを調べずに商品を販売した結果、過剰な在庫を抱えてしまうこともあります。
起業を目指すのであれば、提供しようとしている商品やサービスにニーズがあるのか、事前にリサーチしておきましょう。
起業したいと思っている事業のサービスや商品の市場調査を行わずに起業するのは、非常にリスクが高いので注意が必要です。
起業後の宣伝が不十分
宣伝が不十分だったことが原因で、失敗した学生起業家もいます。
せっかくいい商品やサービスを提供する自信があっても、その認知度が低く集客ができなければ、その商品やサービスを提供することはできません。
口コミだけでは拡散力に限界があるため、認知度もなかなか上がっていきません。
起業して商品やサービスを提供するのであれば、ターゲット層を含むできるだけ多くの人に宣伝する必要があります。
SNSを活用すれば費用は低く抑えることができますが、フリーペーパーなどに広告を載せる場合は1ページあたり約30万円~40万円の費用がかかります。
しっかりと宣伝を行い認知度を上げていくためには、SNSを含む宣伝の知識や宣伝費用が必要になってくることも覚えておきましょう。
経営に対するノウハウがないまま起業
経営に対するノウハウがなかったために失敗した学生起業家もいます。
アイデアだけが先行し、経営のノウハウが全くない状態で起業するのは失敗のリスクが高いと言えます。
経営のノウハウや知識がない状態で起業を目指しているのであれば、まずは経営に関する書籍などを読んで、しっかりと勉強しておくべきでしょう。
最近では、様々なジャンルの経営セミナーや起業塾なども開催されているので、参加してみるのもおすすめです。
経営セミナーや起業塾に参加すると、同じ志を持った仲間やビジネスパートナーになり得る人材などに出会うことができ、ネットワークが広がるというメリットもあります。
各市の商工会議所でも起業家を対象にしたイベントを開催している場合があるのでチェックしてみましょう。
成功事例をそのまま真似して起業
すでに成功している起業家をそのまま真似て起業して失敗した学生起業家もいます。
大学生などの学生起業家は、起業や経営に関する知識やノウハウが全くないため、すでに成功している起業家を参考にすることはとても重要なことです。
しかし、すでにある成功事例をそのまま真似して同じサービスや商品を提供しただけでは、起業が成功するはずはありません。
起業を目指すのであれば、オリジナリティのあるアイデアや他との差別化を図る工夫が必要不可欠です。
成功事例からヒントを探り、そこからどんな風に発展させていくことができるのか考えてみましょう。
学生時代に起業しても失敗しやすい人の特徴
ここからは、学生時代に起業しても失敗しやすい人の特徴を見ていきましょう。
勢いだけで起業を目指す
大学生などの学生起業家には、「若さ」と「勢い」があります。
「勢い」というのは、起業でも非常に大切な要素のひとつですが、「勢いだけ」になってしまうのは危険です。
事業計画や開業資金がないまま、勢いだけで起業するのは失敗するリスクが非常に高くなります。
勢いだけで突っ走ってしまうというタイプの人は注意しましょう。
すぐに有頂天になる
褒められたりおだてられたりすると、すぐに有頂天になってしまう人も注意が必要です。
大学生などが起業すると、周りから注目されるだけでなく、メディアから取り上げられることもあります。
しかし、起業するのは簡単ですが、起業した後は地道な努力が必要になります。
社会人経験や経営経験のない学生が起業した場合は、予想外のトラブルが発生することもあります。
起業して成功したいと思うのであれば、周りの声に影響されず、地に足をつけて努力する覚悟が必要です。
お金にルーズ
「お金を貯めることができない」「あればあるだけ使ってしまう」「お金を簡単に借りてしまう」など、お金にルーズな人も危険です。
起業して事業を成功させるには、収支をしっかりと管理し、お金の流れを常に把握しておく必要があります。
起業前には開業資金を貯める必要がありますし、起業後は毎月の固定費や運転資金の確保が必要です。
開業資金が用意できないからという理由で、多額の借金をして起業するのは無謀な挑戦でしかありません。
実際に成功している起業家は、開業資金をしっかりと準備し、起業後はお金の管理をしっかりとしています。
また、不要な経費やコストはしっかりと削減して、節約も心掛けています。
社会人経験がない学生起業家は、お金の面での苦労が多くあるので注意しましょう。
計画性がない
「計画を立てるのが苦手」「計画的に進めることができない」という計画性がない人も注意が必要です。
起業には計画性がとても大切です。
起業前の段階から事業計画をしっかりと立てて、起業後はできる限り事業計画通りに進めるのが成功の秘訣です。
行きあたりばったりで計画を変えたり、勢い任せに事業を進めるようでは、起業は成功しません。
大学生などが起業を目指す場合には、成功している起業を参考にして、事業計画を入念に考えるところからスタートしましょう。
オリジナリティがない
「オリジナリティがない」というのも、学生時代に起業しても失敗しやすい人の特徴です。
成功例をそのまま真似して同じように起業するだけでは、成功を掴むことはできません。
起業するのであれば独自のアイデアや工夫を大切にしましょう。
もちろん新しいサービスや商品を提供することができればベストですが、すでにある商品やサービスにも独自のアイデアや工夫を加えることで、新たな商品やサービスを生み出すこともできます。
大学生ならではの発想や視点を大切にして、独自のアイデアや工夫を考えてみましょう。
融通がきかない
学生時代に起業しても失敗しやすい人の特徴には「融通がきかない」という特徴もあります。
起業には様々なトラブルやアクシデントがつきものです。
何かトラブルやアクシデントが発生した際は、その時の状況を素早く冷静に判断し、臨機応変な対応が必要になります。
大学生などの学生起業家は、社会人経験が浅いため臨機応変な対応ができない場合も多いものです。
また、計画通りに進めたいと思うあまり、融通がきかないという場合もあります。
融通のきく判断や臨機応変な対応ができるようになるためには、様々な経験や知識を蓄えておく必要があります。
学生時代に起業する場合は、起業後の様々なトラブルやアクシデントに対応できるようにするためにも、数多くの成功事例や失敗事例を学び、知識を深めておきましょう。
学生時代に起業を目指す人が成功するには
ここからは、学生時代に起業を目指す人が成功するためのポイントを紹介していきます。
成功の秘訣やポイントをしっかりとチェックして、起業を成功させましょう。
リスクを回避する
学生時代に起業を目指す人が成功するためには、リスクを回避することが大切です。
大学生などの学生が起業する場合は様々な失敗のリスクがあります。
例えば、学生が起業する場合は資金不足が大きな課題ですが、大きな借金を抱えての起業は失敗のリスクが高くなります。
また、最初から大きな事業を展開してしまうのも失敗のリスクが高まります。
学生起業で失敗している事例を参考にすることで、失敗のリスクを事前に回避することが成功の秘訣です。
しっかりと計画を立てる
学生時代に起業を目指す人が成功するためには、しっかりと計画を立てることも大切です。
学生には若さや勢いがあり、それが魅力でもありますが、勢いだけで無計画に起業するのは危険です。
起業を成功させるためには、起業前に事業計画をしっかりと立てる必要があります。
資金に関しても、開業資金や運転資金などを計画的に貯めていかなければなりません。
さらに、補助金や助成金をもらう場合には、それらの使いみちもきちんと計画を立てる必要があります。
学生で起業する場合には、事業計画や資金の計画、補助金や助成金の使いみちなど、様々な計画をしっかり立てることが成功の秘訣です。
市場調査を行い、常にニーズを把握する
市場調査を行い、常にニーズを把握することも大切です。
起業する前に、提供したいと考えているサービスや商品のニーズをしっかりとリサーチしておきましょう。
しっかりと市場調査を行い、ニーズを把握することで、新しいアイデアが見つかる可能性もあります。
同じようなサービスや商品がどの程度あるのか、その中でも人気のあるサービスや商品にはどんな特徴があるのか、どんな年齢層に人気があるのか、など細かいところまでしっかりと調べておくことが成功のポイントです。
市場調査には様々な方法がありますが、最近ではインターネットで利用できるマーケティングサービスも増えているので、どんどん活用していきましょう。
様々なPR方法を学び、集客する
起業したあとに必要不可欠なことに「PRと集客」があります。
どんなに素晴らしい商品やサービスを用意したとしても、認知度がなく売れなければ利益にはなりません。
その逆に、提供したい商品やサービスのターゲット層に向けて効果的なPRができれば、必ず集客に繋がります。
効果的なPRができるようにするために、様々なPR方法を学んでおくことも成功に繋がるポイントです。
PR方法には様々な種類がありますが、下記のように費用がかかります。
- フリーペーパー:1ページ30万円〜40万円程度
- 折り込みチラシ:1枚3円+製作費・印刷費(1万部で10万円以下)
- ラジオCM:ローカルラジオ20秒程度のCMを30回放送で60万円~100万円程度
最近では、SNSを活用することで低コストで宣伝することもできるようになっています。
大学生などの学生であれば、TwitterやInstagramなどのSNSを普段から使っている人も多いので、PR方法のひとつとして取り入れてみるのがおすすめです。
学生起業家の失敗に関するまとめ
本記事では、大学生などの学生起業家が失敗する原因や失敗しやすい人の特徴について紹介してきました。
大学生が起業して失敗する理由は、下記のように様々な原因がありました。
- ただ単に憧れだけで起業
- 最初から大きな借金をして起業
- 浅い知識で法人として起業
- 補助金や助成金を頼りにして起業
- 利用されているだけと気づかず起業
- 起業したつもりが勧誘していた
- 資金不足のまま起業
- 不十分な市場調査で起業
- 起業後の宣伝が不十分
- 経営に対するノウハウがないまま起業
- 成功事例を真似して起業
大学生で起業を目指すのであれば、学生起業家が失敗した原因や失敗しやすい人の特徴を知ることから始めましょう。
失敗事例や成功のポイントを学ぶことで、大学生でも失敗を回避して起業を成功に導くことができます。
大学生ならではの勢いだけの無計画な起業は、失敗のリスクを高める可能性が高いので注意が必要です。