飲食店起業でできる資金調達の方法には、どんな種類があるのでしょうか?
本記事では、資金調達方法の種類と併せて、資金調達をするメリットや注意点をご紹介します。
飲食店の起業を目指して資金調達の方法を模索している方は、ぜひ参考にしてください。
飲食店起業(開業)時の平均初期資金はどのくらい?
まずは、飲食店を起業する際の平均初期資金がどれぐらいなのかを知っておきましょう。
飲食店を起業する最初の段階で必ず費用が発生するのは下記の2点です。
- 店舗を借りるための賃貸料・契約料
- 店舗の内装や設備を整えるための設備費用
最初にかかる資金は、お店の規模や開業する場所によっても大きく異なりますが、個人起業の小規模店舗であれば700万〜1200万円が目安となります。
店舗の賃料が15万円だった場合には、保証金として150万円程度を用意する必要があります。
設備費用に関しては、1坪単価50万〜80万円という額が目安となります。
例えば、10坪15席の店舗であれば500万〜800万円の内装費用がかかる計算です。
また、開業してしばらくは思うように売り上げが出ず赤字が続く可能性もあります。
そのため、開業後の運転資金についてもしっかり考えて資金を準備することが大切です。
飲食店起業(開業)でできる資金調達方法
飲食店を起業するための重要な業務の1つに資金調達があります。
まずは、飲食店起業でできる資金調達の方法について説明していきます。
飲食店起業でできる資金調達方法は4つある
飲食店起業では、大きく分けて4つの資金調達方法があります。
- 親族や血縁者からの資金調達
- 知人・友人からの資金調達
- 日本政策金融公庫からの融資
- 助成金・補助金を利用して資金調達
この他にも、銀行や信用金庫などから融資を受ける方法もありますが、飲食店起業が初めての場合は銀行や信用金庫などから借入れるのは難しいのが実情です。
資金調達のためには事業計画書が重要になる
融資を受けるためには、説得力のある事業計画書を作ることも重要になります。
事業計画書を作る際には、下記のようなポイントをしっかりと埋めていきましょう。
- 店のジャンル
- 収容人数
- 営業時間や営業日数
- 回転率
- 固定費や原価率の算出
- 従業員の雇用
- 見積もりやコスト削減の計画 など
事業計画書を作る際には、店舗の操業シミュレーションを行いましょう。
操業日数などの読み違いは、年間を通して少しずつ影響を及ぼすのでしっかりと検討する必要があります。
資金調達の際は、事業計画書を用いてプレゼンテーションを行い、現実的な事業計画であることをしっかりとアピールしましょう。
起業したいと考えている飲食店のイメージを具体的に伝えることができれば、資金調達も優位に進めることができます。
飲食店を起業(開業)する人が資金調達をするメリット
ここからは、飲食店を起業する人が資金調達をするメリットを見ていきましょう。
前章で紹介した4つの資金調達方法の項目毎に説明していきます。
親族や血縁者からの資金調達
親族や血縁者から資金調達をする最大のメリットは「借りやすい」という点です。
もちろん金額はそれぞれ異なりますが、資金調達をすることで身近な親族が自分のお店のファンやサポーターになってくれるというのも大きなメリットと言えます。
資金調達を成功させるためにも、しっかりと練り上げた事業計画書を作成してアピールしましょう。
また、自慢の手料理を食べてもらうというのも大切なことです。
親族や血縁者からお金を借りる場合には、金利がない場合が多く、返済期日に関しても柔軟に対応してもらえるのが魅力と言えます。
さらに、親族から借りたお金に関しては、金融機関から融資を受ける際に自己資金としてみなしてもらえるのも大きなメリットです。
親族に資金調達をお願いすることで、集客などにも協力してもらえる可能性が高くなります。
飲食店を起業する際には、親族と上手に付き合いできる限り協力してもらうのがおすすめです。
知人・友人・出資者からの資金調達
知人や友人、出資者から資金調達をする場合、親族や血縁者から資金調達をする際と同様に「金利や返済期日に関して柔軟に対応してもらえる」というメリットがあります。
最近では、クラウドファンディングなどの手法で起業や商品の資金サポートを募る方法も増えています。
クラウドファンディングを活用することで、友人や知人など身近な人にも資金調達に気軽に参加してもらうことができるので、積極的に活用していきましょう。
友人や知人といった出資者であれば、資金調達だけでなく、集客や宣伝に協力してもらえる可能性も高いというメリットもあります。
資金だけでなく、店舗の持ち主などから店舗を貸してもらえるといった可能性もあるでしょう。
日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫から融資を受ける場合は、自己資金と創業計画書をもとに融資額が決まります。
自己資金の額にもよりますが、家族や友人から資金調達をするよりも大きな金額の資金を調達できるのがメリットです。
融資とはいわゆるローンになりますが、ローンを返済することで信用度が高まるため、次に資金調達をする際には大きな信用となります。
借入することによって毎月の返済が発生してしまうといったマイナス面もありますが、返済履歴により金融業界での信用を高めるという意味では大きなメリットと言えます。
助成金・補助金を利用して資金調達
助成金や補助金を利用して資金調達をする大きなメリットは「金利も返済義務もない」という点です。
国、県、市では、経済を活性化するために様々な種類の助成金や補助金を実施しています。
数多くの種類があり、条件や内容もわかりにくい場合が多いので、しっかりとリサーチすることが大切です。
開業前も開業後も、適切な助成金や補助金をきちんと活用することができれば、起業が成功する可能性も高まるでしょう。
申請には様々な条件や必要書類があり、交付後は報告義務もありますが、やる価値はあります。
助成金や補助金を活用して事業をより良くしていく姿勢は、起業家として必須のスキルと言えます。
書類作成などの手間もありますが、そういった作業により操業で必要な項目を知ることができるので、資金繰りに必要なポイントを勉強できる機会にもなります。
飲食店を起業(開業)する人が資金調達をする際の注意点
最後に、飲食店を起業する人が資金調達をする際に注意しなければならないポイントを見ていきましょう。
親族や血縁者からの資金調達
親族や血縁者から資金調達をする際の注意点は、身近な存在であるがゆえに必要以上に踏み込まれる可能性があるという点です。
親族や血縁者だからこそ言えないことや、逆に口出しされすぎてしまうということもあります。
遠慮がない分、言い過ぎたり言えなかったりすることで関係が壊れてしまう可能性があるので注意しましょう。
常に感謝の気持ちを忘れずに相手に接することが大切です。
また、必要な資金を全て調達できない可能性があることも覚えてきましょう。
知人・友人からの資金調達
知人や友人から資金調達をするというのは、資金調達方法の中でも異例な部分があります。
親族や血縁者から調達した資金は、金融機関から融資を受ける際に自己資金として見なされます。
しかし、友人や知人から調達した資金に関しては、自己資金として扱ってもらえない可能性が高いので注意が必要です。
また、お金の貸し借りが発生することによって、友人関係が壊れてしまったり、関係が変わってしまう可能性もあるので注意しましょう。
日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫からの融資はデメリットが非常に少ないのが魅力です。
しかし、融資を受けるということは毎月の返済義務が発生するということなので、例え何らかの事情で売り上げが下がった場合でも、延滞やスキップをしてもらうことはできないので注意しましょう。
融資を受ける場合には、しっかりと返済を続けていくという覚悟を決めることが大切です。
他の金融機関から融資を受ける場合に比べて、日本政策金融公庫の審査は早いため貸付までの期間が調整しやすいというメリットがあります。
それでも、最大で2ヶ月弱かかることもあるので、準備している間に業者への支払い期日が来てしまわないように、貸付日をしっかりと把握した上で準備を進めることが大切でしょう。
助成金・補助金を利用して資金調達
助成金や補助金は、融資よりも交付までに時間がかかるのが注意点と言えます。
助成金や補助金をメインに返済や支払いの予定を組むのは注意が必要です。
助成金や補助金に関しては、交付されるタイミングをしっかりと把握した上で、補助的な資金として活用することをおすすめします。
また、交付後には操業状況確認のための訪問や業務内容の報告義務が発生するため、業務内容が増えてしまう可能性もあります。
事業計画書の資金計画は慎重に
最後になりますが、事業計画書の運転資金を見誤らないように注意することも大切です。
「なるべく借入を抑えたい」というのは起業家として当然の思考回路ですが、オープンしてすぐに事業が軌道に乗るというのは難しいのが実情です。
そのため、ある程度の運転資金を用意しておく必要があるので、起業後の資金についても考えた上で事業計画書を作成しましょう。
5~7年は追加融資は困難なので、慎重に検討する必要があります。
下記を参考に、早い段階から事業計画書の作成に取り掛かりましょう。
飲食店を起業(開業)する人の資金調達まとめ
本記事では、飲食店を起業する際にできる資金調達の種類やメリット、注意点について説明してきました。
資金調達は起業をするために最初にやらなければならない大切な業務と言えます。
そして、資金調達を成功させるためには、説得力のある事業計画書を作ることも大切です。
資金調達には大きく分けて4つの種類がありますが、親族や血縁者から資金調達する場合でも、事業計画書を使うことでどんな計画なのかをしっかりとアピールすることができます。
資金調達には様々なメリットがあるので、自分の事業計画に合う資金調達方法をしっかりと検討して、資金調達を成功させましょう。