「起業したい」と思いながら資金調達が出来ずに起業を断念してしまう大学生が多くいます。
学生が起業を目指す場合、スタートラインで必要な資金調達は大きな課題です。
資金調達には様々な方法がありますが、「補助金」や「助成金」の制度は有効に活用したい手段のひとつです。
本記事では、補助金や助成金とは何か、大学生でも利用出来る補助金や助成金にはどのようなものがあるか、など詳しく解説していきますので、ぜひ参考下さい。
助成金とは
大学生の場合は、「補助金」や「助成金」という制度がどんなものなのかわからないという人も多いでしょう。
ここでは、補助金や助成金がどんなものなのか詳しく説明していきます。
資金調達の手段のひとつ
大学生起業で、難しい問題と言えば資金調達です。
補助金や助成金を利用することも、資金調達の手段のひとつと考えてください。
もしも資金調達の手段のひとつとして、補助金や助成金の制度に全く注目していなかったとしたら、それはとてももったいない話しです。
補助金や助成金の制度はちょっと難しい分があるので、「ちょっとわかりずらい」といった理由で、リサーチ途中でやめてしまう人もいるかもしれません。
しかし、補助金や助成金は受けることができる枠が存在しているので、やめてしまう人がいるということは、その分の枠が残るためチャンスがあるということになります。
大学生起業には、他にいろいろな試練があるはずです。
補助金や助成金程度の問題を「わからないから」といった理由で放棄しているようでは、そもそも起業すること自体が難しく感じる可能性が高いでしょう。
補助金や助成金の制度は、起業したくても資金が確保できず諦めている人たちの背中を押してくれるシステムと考えることもできます。
大学生起業を目指すのであれば、まずは補助金や助成金について理解を深め、正しい知識を持つ必要があります。
助成金と補助金の違い
実際に、補助金や助成金の違いについて調べても、2つを区別せずに使用しているケースも多く見かけます。
同じようなものというとらえ方でも問題はありませんが、敢えて区別すれば、次のように分類できます。
- 補助金・・・主に経済産業省で使用している言葉
- 助成金・・・厚生労働省が積極的に使用している言葉
経済産業省系の補助金制度
経済産業省系の補助金制度は、下記のような目的で提供されています。
- 産業復興のため
- 新しい技術開発のため
- 商店街活性化のため
- 二酸化炭素削減のため など
制度を利用したい人が多いため、もらうことができる倍率は高めです。
厚生労働省系の助成金制度
厚生労働省系の助成金は、下記のような目的で提供されます。
- 雇用を増加させる目的
- 能力開発などのための資金援助
助成金の場合は、ある程度条件を満たすことによってもらうことが可能です。
補助金に比べて、難易度は低いという見方をしていいでしょう。
補助金の方が難易度が低い
補助金や助成金は、難易度によって区別するというのもいいでしょう。
難易度が低いのは、助成金です。
大学生でも助成金をもらうための条件を満たしていれば、比較的簡単にもらうことができます。
助成金は、大学生起業家が資金調達したい場合にもチャレンジしやすい手段と言えます。
補助金の場合は、トライしたものの倍率が高くてもらえなかったという人たちも多くいます。
ただし、補助金と助成金の違いは曖昧になっている部分もあり、 経済産業省系の補助金の特徴をもつ制度の中にも助成金という名前がついていることもあります。
また、その逆の例として、東京都ではお金を補助する制度を全て「助成金」という呼び方で統一しているように、区別が曖昧になっていることがあるので覚えておきましょう。
学生起業家でももらえる助成金の種類
ここからは、起業を目指す学生起業家でももらえる助成金の種類について説明していきます。
もらえる補助金や助成金はしっかりともらい、起業を有利にスタートさせましょう。
ものづくり補助金
まず、学生でももらうことができる補助金や助成金のひとつに「ものづくり補助金」があります。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。
引用 :ものづくり補助金総合サイト
ものづくり補助金は、最近注目が高まっている補助金制度で、革新的なものづくりやサービスの開発をする人たちを補助するための制度です。
補助金の額も大きく、大学生などの学生起業家でも有効的に活用することができます。
国会で毎年予算が組まれているので、今後も学生起業家が期待していい補助金・助成金だと言えます。
ただし、補助の内容については、今後フレキシィブルに変化していくでしょう。
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等のみなさまが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、みなさまの業務効率化・売上アップをサポートするものです。
引用:IT導入補助金2020
学生起業家でももらえる補助金や助成金制度には「IT導入補助金」もあります。
IT導入補助金は、比較的新しい制度です。
起業の際にITについて検討している人たちは、IT導入補助金の条件に該当するかチェックしてみましょう。
今の時代、ITは起業にも関して大きく関わりをもっていくものなので、ITの導入を検討している場合は制度を利用するのがおすすめです。
小規模企業者持続化補助金
「小規模企業者持続化補助金」も学生起業家におすすめしたい補助金・助成金制度のひとつです。
小規模企業者持続化補助金は、販管費に有効活用できる補助金です。
小規模事業者および一定要件を満たす特定非営利活動法人(以下「小規模事業者等」という。)が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とします。
引用:小規模事業者持続化補助金
商品の製造や販売にかかった費用のうち、販売活動に必要な費用や企業全体の管理活動にかかる費用などに対して利用することができます。
幅広い用途で利用できるのが魅力で、窓口は各商工会議所となっています。
補助金の額自体はそれ程大きくはありませんが、それだけハードルが低いので、学生起業家でも有効に活用できます。
キャリアアップ助成金
画像出典:厚生労働省
学生起業家におすすめしたい補助金・助成金には「キャリアアップ助成金」もあります。
キャリアアップ助成金とは、日本において雇用保険法等を根拠に、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進す るため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対する助成金の一である。雇用保険のなかの「雇用保険二事業」と呼ばれる事業のうちの雇用安定事業として行なわれる。
キャリアアップ助成金は、例えばアルバイトとして雇った社員の雇用形態を正社員に変更する場合などに利用することができる助成金です。
有期雇用の人を無期雇用へ変更するなど、働く社員の労働環境をよりよいものにするために努力する起業を助成する目的があります。
大学生で起業した場合でも、会社の規模が大きくなるにつれて雇っているスタッフの人数や雇用形態も変化していくので、そのような場合に有効に活用できる制度となっています。
人材開発支援助成金
画像出典:厚生労働省
「人材開発支援助成金」も学生起業家におすすめしたい補助金・助成金のひとつです。
人材開発支援助成金は、職業訓練をする場合に訓練経費などを助成してもらうことができる制度となっています。
人材開発支援助成金は、労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階的かつ体系的な職業能力開発を促進するため、雇用する労働者に対して職務に関連した専門的な知識および技能の習得をさせるための職業訓練などを計画に沿って実施した場合や人材開発制度を導入し、労働者に対して適用した際に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。
起業してスタッフを雇ったときに大切なことのひとつには「社員の育成」があります。
大学生で起業した場合でも、スタッフを雇うのであれば制度を活用して優秀な人材を育成していきましょう。
人材確保等支援助成金
画像出典:厚生労働省
起業した学生起業家が事業を拡大していく中で利用できる補助金・助成金のひとつとして「人材確保等支援助成金」があります。
本助成金は、事業主等の雇用管理改善、生産性向上等の取組みによる助成を通じて、従業員の職場
定着の促進等を図ることを目的としています。
人材確保等支援助成金は、 メンター制度や健康づくり制度や研修制度などを用意しようという人たちの背中をおしてくれる助成金です。
とにかく、働いている従業員にとっていい環境を整えるために援助してもらうことができます。
起業してすぐに利用できる助成金ではありませんが、起業して事業を拡大していくときに覚えておくと有利な助成のひとつです。
社会起業塾イニシアティブ
「社会起業塾イニシアティブ」も学生起業家が利用できる補助金・助成金のひとつです。
社会起業塾イニシアティブでは、社会を変える可能性を持ったスタートアップ期の社会起業家を選抜。
成長・発展期へのステージアップに向け、事業を加速させるための様々な機会を提供しています。引用:社会起業塾イニシアティブ
社会起業塾イニシアティブは、ソーシャルベンチャー・事業型NPOといった社会的課題に取り組む事業を、自立発展的な成長軌道に乗せる支援をしています。
社会的問題の解決を目的とする事業であり、継続的に実施・拡大することを志向する、またはIT技術やウェブサービスなどを活用することが想定されている事業を支援対象としています。
書類審査と必要に応じて面談を行い、その後、選考会でプレゼンテーションが行われます。
過去に公募が行われた際は大学院生も対象になっていたので、一度確認してみましょう。
学生起業家が助成金をもらうメリット
学生で起業を考えている人の中には、自己資金ゼロでも起業はスタートできると思っている人もいるでしょう。
しかし、どんな起業でも少なからずお金がかかります。
補助金や助成金を活用することで、まとまった資金を用意するのが難しい大学生でも起業が可能になるメリットがあるのです。
起業には「個人事業主」と「法人設立」の2通りある
起業には「個人事業主」と「法人設立」の2つの選択肢がありますが、個人事業主であれば自己資金がゼロでも起業することが可能です。
個人事業の場合は、法人のように資本金について考える必要もありません。
税務署に開業届を提出するだけで起業することができます。
ただし、実際には自己資金ゼロでスタートできる起業はほとんどないのが実情です。
事業内容によっては、設備投資や仕入れ費用などが必要になります。
アフィリエイトなどネットを活用した起業の場合でも、パソコンやインターネット環境を整える必要があります。
法人は個人に比べて信頼度が格段に高い
個人事業主として自己資金ゼロまたは少ない資金で起業することは可能ですが、法人として比較すると信頼度が劣ります。
個人事業主の場合は、店舗を借りようと思っても、なかなか審査が通らないこともあります。
金融機関から借入するためのハードルも高くなります。
法人というのは法人登録した起業のことなので、法人として起業すると金融機関からの信頼度も格段と上がります。
法人には、個人事業主に比べて審査に通過しやすく借入が行いやすいという特徴があるのです。
資金のない大学生でも起業が可能になる
しかし、法人設立にはある程度まとまった資金が必要です。
資本金は1円でも問題ありませんが、登記書類・印紙代・税金の負担として30万円前後が必要となります。
それ以外にも、事業内容によって様々な資金が必要です。
大学生で起業する場合は、まとまった資金を確保するのが難しいので、補助金や助成金についての知識を深めて、上手に活用していくことが大切です。
学生起業家が助成金をもらうまでの流れ
助成金をもらうまでの流れは以下の通りです。
- 助成金の公募
- 助成金の申請書の提出
- 書類審査
- 面接
- 採択決定
- 事業完了
- 助成金の交付
助成金は、申請してから実際にもらえるまでに半年程度期間を要することになります。
助成金はスピーディーにもらうことができないということを覚えておきましょう。
起業を目指している大学生で、補助金や助成金を考えている場合は、どんな助成金があるのか、申請にはどれぐらいの期間を要するのか、事前にチェックしておく必要があります。
詳しくは下記の記事で紹介していますので、併せてご覧下さい。
学生起業家が助成金をもらった後の注意点
ここからは、学生起業家が助成金をもらった後の注意点を見ていきましょう。
起業を目指している学生が補助金や助成金をもらった後は、成功するための様々な努力が必要です。
助成金は、企業が収めている雇用保険料を財源としているため、基本的には返済の必要がありません。
助成金を得られたということは、国に労務環境が整備されていると認められたということも意味しています。
そのため、今後の公的融資が受けやすくなり、もっと大規模な展開も見込めるようになります。
しかし、助成金をもらった以上は注意しなければならない点もあります。
安易に廃止できなくなる場合がある
助成金の種類によりますが、 新しい制度を導入して助成金を支給してもらった場合は、安易に廃止できなくなることがあります。
助成金制度の支給対象は労働者にとってよりよい内容である必要があるため、制度を廃止することによって労働者にとって不利益な変更と判断される可能性があるからです。
内容の周知や不利益がどの程度か、変更内容の相当性と言ったものを総合的に判断し、妥当でなければ認められないため、導入前にしっかりと検討する必要があります。
補助金や助成金だけに頼らない
補助金や助成金を得て起業することができた後は、補助金や助成金だけに頼らずに成功を目指すことも大切です。
起業が成功するポイントは、資金だけではありません。
学生が起業を目指す場合は資金不足が大きな問題となるため、資金調達にばかり集中してしまいがちですが、それ以外にも考えるべきことは多くあります。
経験不足により様々なトラブルが発生する可能性もあるので、すでに起業して成功している起業家の成功例や失敗談を参考に、成功のヒントやトラブルの対処法などを学んでおくといいでしょう。
計画通りに資金を運用する
補助金や助成金を申請する際は、資金をどのように活用するのかを示す運用計画が必要な場合もあります。
補助金や助成金を受け取ることができた場合は、その資金を他の目的に使用することなく、運用計画の通りに活用するようにしましょう。
返済の必要はなくても、運用計画通りに資金が使われているかをチェックされる場合もあるので注意が必要です。
資金の使いみちはしっかりと記録する
起業する場合は、事業に関わる支出をしっかりと記録していくことが成功の秘訣です。
補助金や助成金として受け取った資金についても、使いみちはしっかりと記録していくようにしましょう。
お金の流れを明確にするために、領収書や請求書などの書類もしっかりと残しておく必要があります。
というのも、確定申告の関係で、青色申告ですと7年間、白色申告の場合は5年間保存しておくことが義務付けられています。
青色申告
白色申告
出典:国税庁
記録がない場合は、運用計画とは異なる使用や私的流用を疑われる可能性もあるので注意が必要です。
使用目的を確認し、利用計画をしっかり立てる
学生起業家はまとまった資金を用意するのが難しいため、複数の補助金や助成金を活用して起業する場合もあります。
補助金や助成金には利用条項があり、使用目的が明確に決められています。
複数の補助金や助成金を利用する場合には、それぞれの利用条項を確認し、補助金や助成金として「使える費用」と「使えない費用」をしっかりとチェックしておく必要があります。
いざ使いたいと思ったときに使えないという事態に陥らないためにも、事前確認を怠らず、それぞれの補助金や助成金をどのように使うか計画もしっかりと立ておくのがおすすめです。
無駄を省き、常に費用削減を心掛ける
学生起業家が補助金や助成金を活用して起業した場合、安易に資金を調達できたことから資金を無駄遣いしてしまうことがあります。
しかし、補助金や助成金は何度でも受けられるものではありませんし、底なしでもありません。
学生起業家が起業して成功するためには、費用の無駄遣いをしないように、常に費用削減を心掛ける必要があります。
無駄のない経営を心掛けることは、起業の成功につながるだけでなく、経営者としてのスキルも磨かれていきます。
学生起業家の助成金まとめ
本記事では、大学生などの学生が起業する場合の補助金や助成金の制度についてご紹介しました。
学生でも利用することができる補助金や助成金はたくさんありますので、改めて下記に記載しておきます。
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 小規模企業者持続化補助金
- キャリアアップ助成金
- 人材開発支援助成金
- 人材確保等支援助成金
- 社会起業塾イニシアティブ
学生が起業を目指す場合は、補助金や助成金をもらった後の注意点もしっかりとチェックした上で、補助金や助成金を有効に活用していきましょう。